喫茶せきね345【二号店】

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【記事紹介】『「はやぶさ2」降下開始 人工クレーター作るミッション』を技術的な側面から読んでみた

おはようございます。せきねです。
今朝のニュースで気になった記事『「はやぶさ2」降下開始 人工クレーター作るミッション』について、技術的な側面から紹介したいと思います。

記事元:「はやぶさ2」降下開始 人工クレーター作るミッション(NHK NEWS WEB)

気になったのは次の2つ。

  • クレーターをつくるのための、衝突装置「インパクタ」
  • クレーター作成作業の「着陸」と違った難しさ

詳細は後述しますが、どちらも細心の注意・繊細さを感じられる技術だと感じました。

記事概要

日本の探査機「はやぶさ2」は、小惑星「リュウグウ」の内部を調べるため人工的にクレーターをつくる世界初のミッションに挑戦する計画で、日本時間の4日午後1時ごろ、「リュウグウ」の上空2万メートルから降下を開始しました。順調にいけば、5日午前11時半すぎ、上空から金属の塊を高速で発射して小惑星に衝突させる計画です。

引用「はやぶさ2」降下開始 人工クレーター作るミッション(NHK NEWS WEB)

はやぶさ2は日本の小惑星探査機です。その目的は、地球に接近するような軌道の小惑星リュウグウ」の調査です。
リュウグウは直径900メートルほどの小惑星で、地球と火星の間の軌道を約1年4ヶ月の公転周期で周っています。

クレーターをつくる意味

リュウグウのような小惑星は地球のように大気や地場が無いため、宇宙を飛び交う放射線や微小な隕石の衝突などに直接さらされます。そのせいで地表にある岩石などは、変質が進む「宇宙風化」と呼ばれる現象が起きます。

今回、クレーターを作る意味は、リュウグウの内部を露出させ、変質の少ない小惑星内部の情報を入手するためとなります。

気になったこと

1, クレーターをつくるのための、衝突装置「インパクタ」

クレーターをつくるのための衝突装置「インパクタ」は、世界初の装置です。
インパクタは筒のような形をしています。内部で火薬が爆発することにより弾丸のような形に変化して、小惑星に衝突、クレーターをつくるするという仕組みです。

その際に重要なのが、弾丸がまっすぐ飛んでいくということです。

銅の板と固定する容器の間の溶接は爆発の際に偏りなく板が外れるよう、均一であることが求められ、高度な溶接技術がもちいられています。

また、火薬も空気が入り込むと爆発の威力に乱れが生じて、銅の板がきれいな弾丸の形にならないため、均等に行き渡るペースト状のものを採用、空気が入らないようほぼ真空状態の中で、およそ6時間かけてゆっくり流し込む特殊な製造方法がとられました。

引用「はやぶさ2」降下開始 人工クレーター作るミッション(NHK NEWS WEB)

インパクタがまっすぐ飛ぶために、溶接を工夫したり、内部の火薬の装填方法を工夫したりしています。
プログラムなどと違って現実の物理現象では、解明されていないこと・不確定な要素を考える必要があります。そこをいかに制御し、期待通りの動きをさせているのか、とても興味深いです。

2, クレーター作成作業の「着陸」と違った難しさ

今年の2月にリュウグウへの着陸を成功させているはやぶさ2ですが、今回のクレーターをつくる作業は前回よりも難しいです。

なぜなら、やるべき作業が多いからです。
インパクタの射出や移動など、何段階もの動作が必要になりますが、それらはすべてプログラムで制御されています。

期待通りの動作だけでも難しそうなのに、状況によって別の動作を加えて、動作が失敗したときのための動作を加えて...。考えるだけでも気の遠くなりそうなプログラムを組んでいるんだろうなと思うと、すべてうまく行ったときの感動はひとしおだろうなと思いました。

最後に

計画では、インパクタが爆発するのは今日の午前11時36分頃だそうです。地球の片隅より、成功を祈っています。

[参照]
* 「はやぶさ2」降下開始 人工クレーター作るミッション(NHK NEWS WEB)
* 天体情報まとめサイト